<発注方式について>
時々お問い合わせのある設計と工事の発注方式ですが、大きくは分離発注方式と設計施工一括発注方式があります。以下にメリットデメリットを記載してみました。
1)設計と施工を分離して発注する方式
設計と施工を別の会社(設計事務所とゼネコン・施工業者)にそれぞれ発注する方式です。役所発注の工事にて採用されています。
- 分離発注方式のメリット
施工業者が、設計に関与しないことにより、工事目的物の品質や性能・コストについて、より適切なまたは客観的な管理が可能となります。施工業者間の競争を通して工事価格の低減を図ることが可能となります。
また、設計者が施主の代理人という立場で現場を管理するため、施主の事業に対する理解や合理性の追求においてバランス感覚に優れています。
工事中の追加・変更に関する予算調整においても公平性を保つことができ、後々のトラブルに至る可能性を少なくできます。
- 分離発注方式のデメリット
施工業者に蓄積されている特殊な技術やノウハウを設計段階で活用することができません。
よって、設計で採用した工法の適切性・工期の予測・コストの予測などが、十分な水準に至らない可能性があると言われています。
但し、日本の建築はほぼ一般的な在来工法で建築されているため、大規模な建築や特殊な形状・条件でない限りそれほど大きなデメリットにはならないことが多いです。
施工会社はそのネームバリュー等により技術力が明確ですが、設計者の場合は有名なスター建築家で無い限り、その技術力は見えづらいものがあります。
2)設計・施工の一括発注方式
設計と施工を同一の会社等にまとめて発注する方式です。
民間工事では、ゼネコンに設計施工を発注するという方法で、これまでもよく採用されています。
- 一括発注方式のメリット
施工業者の技術やノウハウを設計段階で活用することが可能となるので、独自のノウハウによる品質向上やより正確なコスト・工期の予想やその低減が図れる可能性があります。
また、窓口がワンストップ化されることにより、工事目的物や工事そのものに対する責任も一本化されます。大規模なプロジェクトに向いています。
- 一括発注方式のデメリット
設計・施工分離発注方式に比べ、施工業者側の諸事情(内装仕様や設備機器の仕様等)を反映した設計内容となりやすい可能性が高くなります。
施工会社が受注元となる場合が多く、(社内設計であれ外注設計であれ)設計者がその下請け的な扱いになりやすくなります。そのため施工サイドの発言力が強くなり、設計・発注者サイドの関与・希望が働きにくい傾向があります。
工事金額に対して適正な価格か専門家によるチェックが働きづらいため、適正価格を把握しづらくなります。
また、プロジェクトの初期段階で、設計条件や受発注者間の責任分担が明確にされないまま設計施工業者に託されてしまう場合があり(いわゆる「丸投げ」)、
工事段階でトラブルにつながる可能性があります(たとえば、必要な追加工事に対する負担の問題など)。
どちらの発注方式を選択するのも発注者次第ではありますが、最終的にはお互いの信頼関係だと思います。
また、どちらの発注方式でも設計料は発生するのでプロジェクト全体にかかる費用は大差ありません。むしろ競争原理が働く分、分離発注方式の方が総額は下がる傾向にあると思います。詳しくは資料の「こんな提案には注意!」をご覧ください。
当社ではお客様の利益を最大限に活かすため、設計と施工を別の会社にて行う分離発注方式を提案いたします。